この人物への批判が高まっている。
いわずと知れた、前FRB議長であり、
世界の金融システムの司令塔であった人物だ。
在任中は、
「なにか金融システムで問題があっても
グリーンスパンが何とかしてくれる」
と、市場関係者の間では、全幅の信頼感が、
氏に対してはあったのではないだろうか。
ところがである。
金融危機の只中にあって、
氏の行き過ぎた
金融当局の規制を嫌う考え方そのものに
批判が集まっている。
(実際、やまいもも、前々回、グリーンスパンが悪いと、氏を断罪した。)
ひいてはグローバル資本主義、金融資本主義の存在そのもの
まで否定しようする動きがある。
例えば、フランスのサルコジ大統領である。
氏の最近の発言でこんなのがある。
「これまでは失敗してきたが、今こそ政府が投機家を取り締まり、政権の信頼回復を図る時だ。世界的な金融システムを再構築する必要があり、投機家の資本主義でなく、企業の資本主義の基礎を築くべきなのだ」
つまり、平たく言ってしまうと
「市場の問題は市場の自浄作用にまかせて、
極力金融当局の規制はせず、むしろ
規制緩和&小さな政府による
旺盛な経済活動により、高い成長を達成する」
という考え方から
「資本主義にも節度が必要である。それには、相応の規制が必要である。」
という考え方へ枠組みを大きく変える必要があるということだ。
端的に云えば、市場原理主義から規制へという考え方の変更である。
そして、時代は確実にそういった方向に進むであろう。
そいうときだからこそ、逆にグリーンスパンの
発言には、注意深く耳を傾けたいと思うのだ。
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頃合もよろしく、上記書籍が刊行になったので、
氏の思想を読み解くことにする。
さて、氏の言葉であるが。
「私の知る限り、どのような規制制度も、どのような保護主義も、根拠無き熱狂や市場と経済に打撃をあたえる恐怖心を安定した経済成長に変えることはできない。経済を中央計画当局のもとで組織化し、高度な知識をもつエリートが運営することで、競争市場よりもすぐれた解決がはかれると考えた人たちは、過去一世紀に繰り返し失敗してきている。」
「したがって、こう主張したい。投機の波を効果的に抑えることはできないので、最善の方法は、市場がいつも十分な柔軟性を持ち、保護主義や硬直的な規制に縛られておらず、危機のショックを吸収し緩和できるようにしておくことだと。」
総論には賛成である。
さて、こういった論点を踏まえつつ、
次回、資本主義の行く末について、
やまいもの見解を述べてみたい。
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